
この記事で、習得できること


デザイナーにとっての「ポートフォリオ」は、「自分が行うべき、デザイン仕事の価値と意味」を伝える、重要な作品集です。
しかし、“どんな内容にすべきか、わからない…”“どんな構成にすればいいのか、わからない…”と悩む方も多いでしょう。
また、“単に作品を並べる”だけでは、「理想の会社への就職」や、「希望する仕事の獲得」はむずかしいと考えています。
この記事では、「理想のデザイン会社への就職・転職」する、また、「理想の仕事を獲得」することを目的とした、「最強のポートフォリオ」の考えかた・つくる手順を解説します。
▲ この動画を見ると、より深く、「最強のポートフォリオ」の「考えかた・つくる手順」を習得できます◎
ポートフォリオをつくる、本当の目的とは
まず、ポートフォリオをつくる、本当の「目的・ゴール」とは。
「5年後に、自分が本当にやりたいデザイン仕事」を実現することです。
そのためには、“ただ作品を集める”だけでなく、あなたの「将来のビジョン」から逆算して、「戦略的にポートフォリオを構成する」必要があります。
この記事では、「デザイン会社の就職を経て、5年後にやりたい仕事をやれるようにする」という流れを軸に、ポートフォリオの制作手順を紹介します。
(*“グラフィックデザインの仕事内容”を、詳しく知りたい人は、コチラの記事をお読みください)
最強のポートフォリオ、つくる手順
ポートフォリオ作成は、「方向性を考える:前半」と「形に起こす:後半」という、大きな2つのステップに分かれます。
【前半】ポートフォリオの「方向性を考える」

01. 5年後の「理想のデザイン仕事」を具体的に考える
まず始めに。5年後、あなたが「誰と」「どんな」デザイン仕事をしたいのか? これを、超具体的に言葉にしましょう。
例えば:
- 「個人クライアントの想い」を形にする、「ロゴとブランディング」のデザイン仕事
- 「新潟県の酒蔵」をクライアントとした、「日本酒の良さが伝わるパッケージ」デザインの仕事
- 「エンタメ関係者」をクライアントとした、「映画や演劇の魅力を伝えるグラフィックツール」のデザイン仕事
このように、「具体的なビジョン」を言語化することで、「最強のポートフォリオ = 目標達成のための道筋」が見えてきます。
02. 就職先の一社目にて、「つけるべき力」を考える
次に、「5年後のビジョン」を実現するには、「どんな力」が必要か? これを言語化しましょう。
例えば、「ロゴデザインの仕事」をするなら:
- 想いを汲み取る、「ヒアリング力」
- スムーズな打ち合わせができる、「進行力」
- よりよいロゴをつくる、「技術力」
- つくったデザインをプレゼンする、「提案力」
「これらの力(または、優先してつけるべき力)を、身につけられる環境の会社」を、「就職先のデザイン会社」の1社目として選ぶことが重要です。
03. つけるべき力が身につく、「デザイン会社」を調べる
「理想の仕事に必要な力」を身につけることができる、「よりよい環境のデザイン会社」を見つける方法を教えます。
それは、以下のステップがおすすめです:
- あなたがやりたい、「デザイン仕事の事例」が載っている「デザイン書籍」を購入
- その「デザイン書籍」の中で、「気に入ったデザイン事例」を制作している「デザイン会社名」をメモする
- そのメモした「デザイン会社」の「WebサイトやSNS」を調べる
この段階では、そのデザイン会社が、現在求人をかけているかどうかは関係ありません。「将来的に、あなたが入社したい会社」を優先軸に見つけて、深く調べることが目的です。
04. 理想のデザイン会社が求める、強みと作品を考える
次に。調べたデザイン会社の「社長や人事の視点」から、「求めているであろう、デザイナー像・ポートフォリオ内容」を考えてみましょう。
そのポートフォリオに含めるべき、「作品の数と内容」を具体的に書き出しましょう:
- 作品数:ロゴデザインを20点、パッケージデザインを8点、広告デザインを4点など
- 作品内容:各作品には以下の情報を含める
- 作品媒体(ロゴ、パッケージなど)
- クライアント(依頼企業)
- ターゲット(例:21歳・女性・表参道在住)
- 制作サイズ
- 概要(作品の説明)
これらの情報は、あなたのデザイン力を「正しく評価」するために重要です。
05. 作品とポートフォリオの「制作スケジュール」を考える
「就職・転職活動の開始日」を具体的に決め、そこから「逆算したスケジュール」を立てましょう。
「ポートフォリオの制作スケジュール」を立てる手順は:
- 「各作品の制作期間」を決める
- 全作品完成後の「ポートフォリオ制作期間」を決める
- ポートフォリオ完成後、「就職・転職活動を開始」する
入稿日や納品日から逆算した「スケジュール管理」は、デザイナーとして「必要なスキル」でもあります。
【後半】ポートフォリオを「形に起こす」

01. ポートフォリオの「印象ゴール」を決める
前半の流れにて、「ポートフォリオの目的・作品数・見せる人」などを整理しました。
後半では、“ポートフォリオに入れる作品”が揃った後、「ポートフォリオ自体をつくる流れ」を説明します。
「完成したポートフォリオを見た人に、『どんな印象』を持ってほしいのか」を明確にしましょう。
例えば、「この人はロゴデザインが強くて、人と接するのが好きなデザイナーだ」など。この「意図した印象」を感じてもらえたら、1段階目のゴールです。
「印象ゴール」は、あなたが「就職したいデザイン会社が求める、デザイナー像と」一致していることが理想です。
02. 「全体構成・ストーリー・優先順位」を考える
まず、「優先して見せるべき作品」を考えます。「優先作品」は、ポートフォリオの頭の方にもってくるようにしましょう。
例えば、「ロゴデザインを強み」にするなら、「ロゴ関連の作品」を前の方のページに配置します。
次に、ポートフォリオ全体の「ストーリー展開」を考えます。例えば:
- 「プロフィール」シートから始める↓
- 作品カテゴリーの切り替わりに「余白」を設ける↓
- 最後に見る人への「メッセージ」を添える…など
「ポートフォリオ全体の構成」を、「台割」(冊子全体のページ構成が見えるラフ描き)で計画すると、迷いなく進行できます。
このような「優先作品」「ストーリー展開」のよりよい見せ方を考える前に、「既存のプロがつくったポートフォリオ」を5〜10冊ほどみて、「リサーチする」といいでしょう。
「リサーチ時の気づき」を、上記例のようにメモして、自分のポートフォリオに反映、検証を行いましょう。
03. 「細かな記載内容」を考える
ポートフォリオ内、各作品ページに「記載すべき情報」は:
- 作品タイトル
- 作品媒体名
- クライアント名
- 作品のターゲット
- 制作サイズ
- 作品の一言説明
これらの情報があることで、見る人は「各作品の意図や目的」を理解し、「デザイン善し悪しを正しく評価」できます。
04. 「見開きのフォーマット」をつくる
次に、ポートフォリオの「見開きフォーマット」作成を行います。
まずは、既存のプロがつくったポートフォリオを「レイアウト視点」でリサーチし、「参考になるフォーマット」デザインを見つけましょう。
作品のサイズ感、記載情報のサイズ感、フォント、余白など、「レイアウト視点」での「気づき」をメモします。
その「気づき」を生かした「見開きフォーマット」のラフ描きをします。そして、「ラフ描き」をもとに、Adobe Illustrator でレイアウトします。
各見開きページでは、「一番の見せ場は何か」を考え、「優先すべき作品」を目立たせるレイアウトにしましましょう。
あなたが就職したい、「理想のデザイン会社」の特性(ロゴ重視、広告重視など)に合わせて、各サイズ感の強弱やメリハリをつけた、調整や検証を行いましょう。
(*“Illustratorにて、紙面デザインを作るコツ・作り方”を、詳しく知りたい人は、コチラの記事をお読みください)
05. 「全ページ」のレイアウト、全体調整を行う
まずは、全ページを仮のフォーマットでレイアウトし、プリントアウトしてクリアファイルに入れます。
ページをめくり、「全体の流れ」を確認しながら、「気になる点」を書き出し、改善していきましょう。
例えば:
- 「作品の順番」に違和感はないか?
- 「文字サイズ」や「テキスト量」は適切か?
- 「印象ゴール」に到達できる内容になっているか?
“一度に完璧を目指す”のではなく、「全体のバランス」を見ながら、「徐々に調整する」ことが大切です。
ポートフォリオを「人に見せる」ときのコツ

人に「アドバイス」を求める場合
ポートフォリオについて、デザイン学校の先生やデザイン業界の先輩など、人に「アドバイス」を求める時のコツ・ポイントを紹介します。
ポートフォリオを“見せる前”に、以下内容を伝えましょう:
- ポートフォリオの「目的・意図」は何か?(例:就職活動にて、「ブランディング系のデザイン会社への就職」を目的としたポートフォリオ)
- 具体的に、「どの部分のアドバイス」が欲しいか?(例:目的を達するための、「各作品のクオリティ」は問題ないか? 「全体の作品数」は十分か? )
事前に上記を伝えることで、「より的確なフィードバック」を得やすくなります。
「就職・転職活動」や「仕事獲得」の場面
デザイン会社の面接時や、仕事発注前のクライアント候補者と会う時など。
それらのシーンにて、ポートフォリオを“見せる前”に、「自分の強み」を一言、伝えるといいでしょう。例えば:
「私は、『人の想いを形にする、ロゴデザインとブランディング』が得意です。これは、その内容を中心にまとめたポートフォリオです」
この「自分の強み」を伝えることで、「あなたの印象」が強く残り、「採用や仕事依頼の確率」を上げることができます。
共通の注意点は、「話しすぎない」こと
ポートフォリオを「見てもらっている最中」の注意点。
自分から話しすぎず、「相手の意見や感想を引き出す」ことに集中しましょう。
相手が「意見を言いやすい雰囲気づくり」を心がけることで、よりよい印象を与えられます。
まとめ


「最強のポートフォリオ」をつくるには、「5年後のビジョン」から逆算して、戦略的に取り組むことが重要です。
その流れは:
- 理想の仕事を明確にし、必要なスキルを考える
- そのスキルが身につく会社を調べる
- 会社が求めるデザイナー像と作品内容を考える
- 具体的なスケジュールを立てる
- 印象ゴールを決め、全体構成を考える
- 必要な情報を整理し、効果的にレイアウトする
そして何より、ポートフォリオを見せる際は、「自分の強み」を伝えつつ、「相手の意見に耳を傾ける」姿勢が大切です。
これらのステップを踏むことで。
あなたの「理想のデザイン会社」への就職・転職の可能性を高める、「最強のポートフォリオ」をつくることができるでしょう。
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