デザインづくりのコンセプト、すべてわかる記事。いい表現、方向性をきめるコツ。

デザインづくりのコンセプト、すべてわかる記事。いい表現、方向性をきめるコツ。

この記事を書いた人:
グラフィックデザイナー
アトオシとデザイン

  • グッドデザイン賞受賞
  • アマゾン1位
  • アドビの先生
  • 吉本興業チャンネル出演
  • YouTube登録者2万人ごえ
  • プロ歴20年
アトオシとデザイン、プロフィールと実績
▲ アトオシとデザイン、プロフィールと実績
目次

この記事で、習得できること

この記事を読むと、デザイン仕事・いいデザイン作りの「コンセプト」を決める、「手順・方法」を習得できます。

そして、「コンセプト(いい表現の方向性)を決められる、よりよい“つくり手・デザイナー”になることができます。


▲ この動画を見ると、より深く、「デザイン“コンセプト”の決め方」を習得できます◎

いいデザインをつくる、手順のおさらい


まず、私、アトオシが、“プロのデザイナー”として、「グラフィックデザイン仕事で、実際に行っている手順」を紹介します。

  • 全体の手順
  • 01. ヒアリング
  • 02. リサーチ
  • 03. コンセプト立案
  • 04. ラフ描き
  • 05. デザイン実施制作
  • 06. 検証・調整
  • 07. プレゼン提案
  • 08. 再検証・調整
  • 09. デザイン確定
  • 10. 入稿・納品

…この記事では、「03. コンセプト立案」にて、具体的に何を決めるべきか、教えます。

先に、結論

いいデザインづくり、“コンセプトの出しかた”は?

  • 1. クライアントから“ヒアリング”
  • 2. 重要な“キーワード”を書きだす
  • 3. より“優先すべき”単語に○つけ
  • 4. ○候補をくっつけ、“1つの言葉”にする

「表現する上で、大事なテーマ」“一言”でいうと? = コンセプト。言語化→視覚化、いいデザイン!

それでは、あなたに“デザイン力”がつく、詳細をお伝えします。


そもそも、コンセプトとは


“いいデザインづくり”における、「コンセプト」とはなんでしょうか?

「デザインコンセプト」を言い換えると、下記の例があります。

これから、“あなたがつくるデザイン”の…

  • テーマ
  • 想い
  • 強み
  • モットー
  • ビジョン

…というイメージです。(どんな言い回しでもOKです)

要約すると、

  • クライアントの「圧倒的特長」、または、
  • クライアントが「最も大事」にしてること
  • を、“一言で言うと”何よ?

…です。

この「コンセプトの言葉(言語化)」を、「よりよく視覚化」したものが、「いいデザイン」です。

つまり、「コンセプトの言葉」を明確にすることで、いいデザインの「方向性」がみえるのです!

なぜ、コンセプトが必要か

それでは、“いいデザインづくり”のため、なぜ、「コンセプト」が必要なのでしょうか?

それは、「コンセプト」をしっかりと決めると、「いいデザイン = 目的達成できるデザイン」がつくれるからです。

ここでいう「目的」とは、カフェのロゴデザインの場合、「新規のお客さんが増えた」などです。

そして、「目的達成」できるデザインは、「認知・印象・独自性」が機能することが重要です。


いいデザインの“表現機能”は、3つあります。

  • 認知:伝えるべき情報
  • 印象:与えたい印象
  • 独自性:最大の特長


この「認知・印象・独自性」を機能させ、「目的達成する」デザインをつくるため、「コンセプト」の軸を決めることが、とても重要なのです。

そして、「コンセプト」と「与えたい印象」を“かけ算”することで、「よりよい具体的な表現」が見えてきます。


逆に「コンセプト」を決めないまま、“なんとなく”デザインすると、“ありがちなデザイン”になり、目的達成ができません。

つまり、“いいデザイン”ではなくなってしまいます。

ですので、あなたがつくるデザインの「目的」をしっかり見据え、「いいコンセプト」を決めましょう。


コンセプトを決める手順

コンセプトを決める“手順”は、以下のとおりです。

  • 手順01. 事前の「情報収集」
  • 手順02.「ヒアリング」
  • 手順03.「情報整理」
  • 手順04.「優先ワード」の選抜・組み合わせ = コンセプト決定


“だいじなポイント”は、「01〜03」の手順を飛ばさないこと。

「01〜03」の手順を丁寧に進めることで、「いいデザインコンセプト決め = “具体的な表現”決定」ができるのです。

それでは、コンセプト決めの手順、“各内容の詳細”を教えます。


・手順01. 事前の情報収集

まず、デザイン制作の“ヒアリング”にむけた、「事前の情報収集」です。

ここで“収集する内容”は、以下のものです。

  • 調べるもの:相手の情報
  • 用意するもの:質問リスト・印象シート・デザイン書籍


まず、「相手の情報」は、「クライアントリサーチ」ともいえます。

これをやる“目的”は、あなたにデザイン依頼をしてきた人物(会社・オーナーなど)「評価基準・特長」を知るためです。

「評価基準・特長」を知ることで、「提案デザイン」の「方向性決め」に役立ちます。


「クライアントリサーチ」にて、“調べる内容例”は、以下のとおりです。

例:お店の“ロゴデザイン依頼”の場合…

◎ 「お店」関連

  • “お店の概要”がわかる資料(特徴・立地・ターゲット層など)
  • Webサイト
  • ブログ
  • SNS


◎「お店の代表者(デザイン決定者)」関連

  • フェイスブック
  • ツイッター(エックス)
  • インスタグラム
  • ノート

“理念・考えかた・話題・行く店・買う物・服装”などの情報から、「評価基準・特長」を探ります。


・手順02. ヒアリング

いいコンセプト決めの手順、2つめ。「ヒアリング」です。

“ヒアリングの目的”は、「デザインの方向性」を確認するためにやります。

重要なのは、「言葉と視覚」の両方で確認し、「提案型の質問」をすることです。

例えば、「居酒屋の来客数を上げる、チラシデザイン」をつくる場合。

アトオシが必ず、“ヒアリングしている内容”は、以下3点です。

  • 質問A. この居酒屋の「圧倒的特長(売り)」は、なんですか?
  • 質問B. 完成チラシを見た人に、「印象は、どう感じてほしい」ですか?
  • 質問C. “希望の方向性”に近しい、「既存デザイン」は、どれですか?



…以下、“クライアントさんからの回答例”です。

◎ 「質問A. 圧倒的特長(売り)は?」の回答例:

  • 日本酒
  • 海がみえる立地
  • スタッフの笑顔



◎ 「質問B. 印象は、どう感じてほしい?」の回答例:

  • 洗練
  • かわいい
  • 活気



◎ 「質問C. 希望の方向性に近しい、『既存デザイン』はどれ?」の確認例:

  • 確認a. “既存事例”が多く載った、「デザイン書籍」を一緒にみて、方向性を確認
  • 確認b. 事前につくっておいた、「印象マップ」を一緒にみて、方向性を確認
  • 確認c. デザイナーから、「提案型の質問」をする



確認a. 例えば、“レイアウトの方向性確認”として、既存デザイン事例がたくさん載った、「イメージ別:レイアウトスタイルシリーズ」などがオススメです。


◎ 参考書籍「イメージ別:レイアウトスタイル」



確認b. また、「オシャレ・洗練系」〜「やさしい・したしみ系」、「抽象的」〜「直感的」など、デザインのイメージがわかる「印象マップ」をつくっておくと、方向性の「視覚的な擦り合わせ」ができます。

これを事前に作成し、ヒアリング時に使うと、“希望デザインの齟齬”が起きません!



確認c. そして、ヒアリング時の“聞き方”は、「なにがいいですか?」ではなく、

「私は、今回のチラシデザインですと、“□□と比較して、○○の方向性がよりよい”と感じます。いかがでしょうか?

…というような、「提案型の質問」をしましょう。

「提案型の質問」であれば、クライアントさんも、「はい」か「いいえ」で回答しやすいのです!



・手順03. 情報整理

いいコンセプト決めの手順、3つめ。「情報整理」です。

「手順1・2」で行った内容・メモをもとに、「コンセプトの種」になりそうな「キーワード」をすべて書き出しましょう。



◎ デザイン“コンセプト”の種となる、キーワード例

  • 日本酒
  • 職人
  • 料理にあう
  • 抜け感
  • 和モダン
  • 想像できる
  • 期待感
  • 美味しさ
  • 余白
  • 奥行
  • 本物
  • 説明しすぎない

…などなど。

たくさんある中、今回のデザインに“最適なワード”だと感じる、「上位1〜3位の言葉」に丸をつけましょう。


・手順04. 優先ワードの選抜・くみあわせ

「上位1〜3位の言葉」に丸をつける際、大事なのは、あなたの「ディレクション視点」です。

「ディレクション視点」とは、ある意味、「方向性を見いだす、あなたの勇気」です。

“意図と自信”をもって、“言葉を選抜”しましょう。


“今回の作例”として、「日本酒・期待感・余白」の言葉が、「コンセプトの種」として適していると考え、選抜しました。


この「3つのワード:日本酒・期待感・余白」を、「一言でいうと何よ? = コンセプト」にまとめます

  • まとめ方の例:「Aタイプ:シンプル・ストレート系」「期待」
  • まとめ方の例:「Bタイプ:フック・いい違和感系」「日本の余白」

…この「期待」「日本の余白」のように、「コンセプト」の決め方によって、“よりよいデザイン表現の方向性”が、大きく異なります。

だから、丁寧に「コンセプト」を決めることが、とても重要なのです!

今回は、フック・いい違和感をあたえる、「コンセプト = 日本の余白」にしました。


コンセプト決定後、いい表現方法

次にコンセプト決定後の、「いい表現法の手順」を説明します。

  • 手順01.「コンセプト」視点で、「デザインリサーチ」
  • 手順02. “01.”からの、「表現の気づき」をメモする
  • 手順03.「印象」視点で、「デザインリサーチ」
  • 手順04. “03.”からの、「表現の気づき」をメモする
  • 手順05. “2つの視点・気づき”の「表現手法」を「かけ算」する
  • 手順06. “具体的な形”にして、「検証・判断」する


手順01・02. コンセプト視点リサーチ・メモ

◎ “表現ステップ01・02”の例:

  • 表現ステップ01.「コンセプト:日本の余白」を感じる、“既存デザイン”をリサーチする
  • 表現ステップ_02. 「日本の余白」視点からの、「表現の気づき」をメモする



手順03・04. 印象視点リサーチ・メモ

◎ “表現ステップ03・04”の例:

  • 表現ステップ03.「印象:高品位」を感じる、“既存デザイン”をリサーチする
  • 表現ステップ04. 「高品位」視点からの、「表現の気づき」をメモする



◎ 「日本の余白」「高品位」を感じる、表現のメモ例:

  • レイアウトにて、“大きな白地”をいかす
  • フォントは、“やや細めの明朝体”を使用
  • 見出しなどに、あえて“英語表記”も入れる
  • 配色カラーは、“白と黒”が貴重
  • 説明しすぎない、“想像の余白”を感じる
  • 使用写真から、“品のあるシズル”を感じる
  • デザイン全体に、“心地よい抜け感”がある



手順05. 表現手法を整理、かけ算する

“ステップ1〜4”をもとに、今回のデザイン制作にて“重要”だと感じる、「表現手法」の「メモ・ヒント」を整理しましょう。


◎ 「表現手法」の整理例:

  • 余白
  • 英語
  • 明朝体
  • シズル



“整理した内容”をもとに、「表現の具体的な方向性」を決めます。


◎ 「表現の方向性」例:

  • メインビジュアルは、 「日本酒」
  • 印象は、 「高品位・ラグジュアリー」
  • 「余白多め」のレイアウト
  • ポイントで、「英語」使用



手順06. 具体的な形にして、検証する

“決めた方向性”をもとに、「コンセプト×印象」を感じる、“フォント検証↑”を行った例です。(本例:「日本の余白×高品位」



“決めた方向性”をもとに、「コンセプト×印象」感じる、“レイアウト検証↑”を行った例です。(本例:「日本の余白×高品位」



“比較検証の作例”を紹介します。こちらのデザイン↑は、「地鶏×インパクト」を感じる作例です。



こちらのデザイン↑は、「看板娘×ポップ」を感じる作例です。



…つまり。

“情報・概要が同じ”でも、「コンセプト×印象」によって、「ベストな表現」が変わってくるのです!

だから、その「コンセプト」を決めるあなたの「ディレクション視点」が大事なのです。


コンセプト決定力、いい訓練法とは

それでは、「コンセプト決定力」をつける、「訓練」はどうしたらいいでしょう?

それは、「デザイン制作の実践」にて、「コンセプトを決める手順・場数」を繰り返すことです。


◎ “コンセプト”を決める手順

  • 手順01. 事前の「情報収集」
  • 手順02.「ヒアリング」
  • 手順03.「情報整理」
  • 手順04.「優先ワード」の選抜・組み合わせ = コンセプト決定

この“手順・場数”を、実践で繰り返すことで、「いいコンセプトの決定力」がつきます。

“具体的なトレーニング方法”は、こちらの動画にて見ることができます。


いいコンセプト決め、意識とコツ

最後に、「いいコンセプト決め」「意識とコツ」を教えます。

  • 「世界観の方向性」 を見出す、「ディレクション視点」 をもつ
  • 「徹底的にリサーチ」 をして、「勇気ある、表現・判断」 をする
  • 「与えられてない素材(テキスト・画像)「自分で用意・作成」 する


デザインコンセプト、まとめ

この記事の“まとめ”です。


◎ デザイン「コンセプト」とは…

  • クライアントの「圧倒的特長」、または、
  • クライアントが「最も大事」にしてること
  • を、“一言で言うと”何よ?

…この「一言」を言語化した言葉が、「コンセプト」です。

この「コンセプト」を、よりよく“視覚化”したものが、「いいデザイン」です。

ですので、「いいコンセプト」を決めると、「いいデザイン = 目的達成できるデザイン」をつくれます。


◎ 「コンセプト」を決める“手順”は…

  • 手順01. 事前の「情報収集」
  • 手順02.「ヒアリング」
  • 手順03.「情報整理」
  • 手順04.「優先ワード」の選抜・組み合わせ = コンセプト決定


◎ コンセプト決定後、いい“表現の手順”は…

  • 手順01.「コンセプト」視点で、「デザインリサーチ」
  • 手順02. “01.”からの、「表現の気づき」をメモする
  • 手順03.「印象」視点で、「デザインリサーチ」
  • 手順04. “03.”からの、「表現の気づき」をメモする
  • 手順05. “2つの視点・気づき”の「表現手法」を「かけ算」する
  • 手順06. “具体的な形”にして、「検証・判断」する


“情報・概要が同じ”でも、「コンセプト×印象」によって、「ベストな表現」が変わります。

ですんで、“たくさんの実践・場数”をふんで、いい「コンセプト決定力」をつけましょう。

よりよいデザインがつくれるよう、心より応援しています!!


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最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。


▲ この動画を見ると、より深く、「デザイン“コンセプト”の決め方」を習得できます◎

デザインづくりのコンセプト、すべてわかる記事。いい表現、方向性をきめるコツ。

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この記事を書いた人

アトオシとデザインのアバター アトオシとデザイン グラフィックデザイナー

グッドデザイン賞。アマゾン1位。アドビの先生。吉本興業チャンネル出演。YouTube登録者2万人ごえ。プロ歴20年。

「目的を形にする、ロゴデザインとブランディング」というコンセプトにて、グラフィックデザイン仕事をおこなう。

また、「“デザイナーではない人”にデザインを伝える」コンテンツを日々発信している。著書「[新版] デザイナーになる! MdN」など。

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